「土間」は昔の生活ではかかせないものでありました。
今の日本ではコンクリートに囲まれた生活を送っている事が多々あるとおもいます。「土間」は屋外でもなく屋内でもないあいまいな空間です。玄関であったり、通路であったり、農作業をする作業場であったりと多種多様な用途をまかなってくれていました。
それはとても大事な空間であり、先人の知恵と工夫によって「たたきの土間」が生まれ、進歩していきました。
「いろり山賊老松店」の土間は赤土を使わない土間であります。
赤土を使用しない事により通常の民家などの土間よりも「カラッ」と乾燥した高貴な土間に仕上がっています。
今回の改修工事で完璧な土間ではないかもしれませんが、次回には今回の教訓を加え、
より素晴らしいものが出来ればと思っています。
写真は開店当時の老松店です。前回の土間工事から25年が経過し、土間が磨り減ってきましたので、新規に施工します。
土間に埋め込まれた黒い那智石が土間の工事の時期を知らせてくれます。この石が出てきたらそろそろやり変えです。
事前に色々な調合でテストをしました。今回はこの調合で大変苦労しました。
入荷した砂が目が細かすぎましたので他に当たってみます。
「無塩左官砂」という商品を仕入れてみました。
中身は海砂でした。これを使用します。この目が小さすぎると水はけが悪くなります。
「鬼真砂」と「海砂」を混ぜます。
真剣な表情の岡田博之さんです。
藁(わら)です。このままも使用しますが、土と混ぜる用としてを3cm位に切断ます。
これが昔農家などで使用していた「押し切り」です。
岡田左官によって準備して頂きます。
仕上がりはこんな感じです。
いよいよ工事当日になりました。作業中は粉塵がかなり予想されますので店内をしっかりと養生します。
強制的に粉塵を外へ排出します。
いよいよ古い土間を崩していきます。ものすごい粉塵です。
約13~15cm位、掘り下げました。
バラスをひき始めました。最終土間仕上がりの高さより9㎝下がったところに合わせます。
バラスをならします。下地バラス3~4cm、土間1層目5cm、2層目5cmの予定です。
本来なら土間が10cmですので10cmに合わせるのですが、土間を叩く事によってバラスも下がるので最終仕上がりより9cm下がったところに」あわせます。
わかり易く図にするとこんな感じになります。土はたたく事により約半分の厚みになります。
頑張って綺麗な写真を撮ってみました。
本日がんばってくれた道具達です。
土と配合する「消石灰」と「にがり」です。しかし物凄い量です(汗)
これも一緒に混ぜるもので「すさ」といいます。
仕事の前にみんなで記念撮影です。
3台のたらい型ミキサーで土の調合、練りを行いました。
消石灰も入れますのでマスク、ゴーグル、手袋を装備します。
最初に5cmほど土を入れて、藁をひきます。その後また5cm土をいれます。
叩きはじめです。藁が散らばっているように見えますのは隣に土を入れた時への繋ぎとする為です。
叩くコツは上に振り上げ、下ろす時には力を入れない事です。
少し休憩をします♪
休憩後もミキサーは3台がフル稼働しています。たたく人員とのバランスがちょうど良かったです。
規定の水の量はありますが、真砂土の水分が部分的に違うので、左官の手によって微調整します。
叩きが均一になるように注意します。
中一日空けて2層目の作業です。1層目の上に藁をひきます。
藁をひいた上から土を入れて馴らします。土は5cm盛りました。後から仕上げで5cm入れます。
最初の5cm分を入れて叩いたので、2回目の土入れに入る前にレベルを確認します。
最終になる土入れです。藁もひいた上に5cm盛ります。
手前側が朝叩いたところに藁をひいています。奥は更に最終の5cm盛ったところです。
土に埋まっている緑のテープの上場が最終仕上りの高さです。
石のキワなどを水をつけたコテで固めます。水分が多いと固まりやすくなります。
せっとう(げんのう)で板を叩いて締めている所です。
叩き器具の中で゙仕上げの叩き作業です。
隅もしっかりと叩きます。
左からげんのう、隅用板小、隅用板中です。
叩き作業で使用しました。道具達もお疲れ様でした。